僅かでも価値があるものを捨てられない生き方と、生きる上で必須でないものを整理する思想は、ものに価値を認めている生き方という意味では同じ病根に根ざしている。
しかし、断捨離そして突き詰めたミニマリスト志向は他者から見ると迷惑をかけないという意味で美しさにおいて優っている。
父親が死去した後、母親は数ヶ月に渡り、夫の遺品を自動車や船舶など価値あるものは必要としている人に分け与え、膨大な写真や書籍などの残りは野焼きをして黙々と整理をしていた。整理するときの母親の思いはその辛さは如何程のものか想像に難くない。
同じ思いは、母親が突然の脳出血に倒れた折の膨大な和服の処分、掛け軸、陶器、金杯などの整理をしたとき、自らがその辛さを味わった。
遺された者にとって遺品整理はどれほど辛いものか、思いがあるほどその辛さは大きい。
いま、私は箸の一本に至るまで整理しようとする病的なまでの断捨離を行おうとしている。その覚悟が決まれば不思議と気持ちがすっきりとした。
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