ページ

2010/10/10

立法と行政そして官僚と政治家をワクチン対策から整理

世論のうねりで政治家が決断した超法規的対応として知られているのは、ソ連およびカナダからのポリオの生ワクチン緊急輸入だった。その効果は著しく大規模実験としても世界的に評価されるものであり、その後のWHOによるポリオ撲滅対策のひとつのモデルにもなった。

我が国の世論のうねりはその後は薬害被害に移りインフルエンザワクチンの学校での集団接種が中止された。その同じ背景からか日本脳炎の予防接種は立法的な変更は一切無く厚労省の一課長通知の積極的勧奨の中止という超行政的対応とも言われかねないものの迅速な実質的停止が行われた。

新型インフルエンザの発生があるも想定していた鳥インフルエンザではなかったため備蓄していたワクチンでは対応できない事態が起き、政治主導により新型インフルエンザの緊急輸入が決断され、臨時的な法対応もなされた。結果的には緊急輸入されたワクチンは余ったものの、これは他国でも同様に余っており緊急輸入に批判はそれほどされていない。

そして今、ポリオの生ワクチン被害防止のために不活化ワクチン化が進められているが、今年も来年も生ワクチン投与が規定路線化している。そのため、一定の割合での接種後のポリオ発生が懸念され、米国など他国では10年前から不活化ワクチン化されていることを考えると、非加熱血液製剤で起きた同じ道をたどっていないか心配である。

ただ、薬害被害防止のため新規薬剤の認可には厳しい基準があり、行政だけの決断で迅速な不活化ワクチン化は困難かと思われるため、政治決断が必要だがそれをうながす世論のうねりはネット上で見えるだけである。

問題となるとした場合には、なぜ他国では2000年から不活化されているのに日本では10年以上も遅れたかの時代検証が必要だと思われる。情報も豊富である専門家集団の官僚組織を再構築することが求められるような気がする。

0 件のコメント:

コメントを投稿